《多次元メガロマニア》

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使用方法は、トピック【遊び方】をお読みください。

この掲示板は、秋田禎信先生の作品大好きな皆様の、ネタの共有を目的とした、お遊び企画です。
作者様や出版者様とは一切関係ありません。

【オーフェン】隊長と長女 asato URL

2011/07/06 (Wed) 21:56:13

エド・サンクタム隊長と、ラッツベインの2ショット。
珍しい事に(?)、師匠もシスタも居ない。

ラッツベインの年齢は自由で!
幼児期でも良いし、魔術戦士になった後でも可。

夏は刺激とともに yuuki URL

2011/07/12 (Tue) 23:41:17

「ああ、なるほど。 これは夢ですね」
 ラッツベインは一人で納得して読みかけの雑誌に目を落とした。
 『今年の夏はこれで彼氏も夢中! 人生最高の夏の始まりだ!』などと書かれた煽り文を目で追い思う。
 つまり、彼氏を作らないと今年も私は夏知らずの女におちついてしまうんだ……。
「……何故だ?」
 唐突に目の前の、向かい合って座っていた夢の産物男が話しかけてきた。
 表情ひとつ変えず、近寄りがたいオーラを無駄に垂れ流している男がラッツベインの返答を待つ。
「はあ……まあ隊長はこういうことに関してまったくと言っていいほど関心が無いかも知れませんけどぉ……」
 と、ラッツベインは読んでいた雑誌の問題の部分を男に見せながら続ける。
「いいですか? 世の男の子と女の子は理由が欲しいのです! イチャイチャベタベタキャッキャウフフ出来るしっかりとした理由が!それこそ夢の中までランデブーですよー。まあ私は清いお付き合いを所望しますが~」
 雑誌を引っ込め、諭すような口調で男に話しかける。
「いい加減隊長もですよ~その辺のことを考えるようにしないと。 シスタさんの気持ちを考えてくださいよ~。責任は取るべきですよ!」
「何の話をしている?」
「夏知らずで人生が終わるかもしれない、いたいけな女の子の話ですが……」
「そんな事は聞いていない。 俺が聞いたのは、何故おまえは俺を見て『夢』だと思ったかという事だ」
「だってぇ……隊長がこんなところにいるはずないじゃないですか」
 ラッツベインと隊長と呼ばれる男がいるのは歯医者の待合室だった。
 開拓初期にからある古い病院で(訳アリじゃないかというもっぱらの噂だが)腕がよく何より同じローグタウン内にあるのが非常に便利だ。大抵の腕に自信がある医者は街のほうに行ってしまうため重宝されている(ゆえになおさら例の噂が広まるわけだが)。
 不覚にもラッツベインは虫歯を作ってしまい治療のため歯医者に通っているのだ。
 因みにラッツベインは治療をあまり長引かせたくなかった。理由は母である。母は普段、何でも器用に出来る性質なのだが一度『気合』を入れるととんでもない事になる性質も持ち合わせていたりする。フィンランディ家では怪我や病気はご法度なのだ。とはいえ、回避できないときはどうしてもある。故に治すときは迅速に治さないと後々が大変なのである。
 今日で三回目なのだが何時もの様に受付の女性に予約を取り、お世辞にも質のいいとは言えないソファに腰を下ろし(小さい子供が遊ぶアヒルのおもちゃがお尻にささった)雑誌を見つつ順番待ちしていると不意に入ってきたのが隊長だったのである。
 隊長と呼ばれる男の名はエド・サンクタム。戦闘魔術騎士団の隊長を務めており、魔術戦士ラッツベインの上司でもある。
 感情があるのかないのか分からない爬虫類のような顔で彼が聞き返してくる。
「……いるはずがないのか?」
「はい。ありえないです。何故かと言うとありえないからです」
 エドはしばらくラッツベインをながめ。
「……そうか」
 話を打ち切る事にした。

 5分ぐらい沈黙と戦い続けたラッツベインは結局のところ勝ち目のない戦いだと悟り、目の前の陰気な、何と言うか公園で見かけたら間違いなく通報されてもしょうがないよね、という上司に先ほどから心に沸き起こる疑問を問いかける。
 疑心というのは一度芽生えると、もはや払拭するには問いかけるか死ぬかしかないのかもしれない。
「え? 本物ですか? 夢の産物、エドリームおじさんでは?」
「確信はないが……おそらく違うな」
 問いかけたところで払拭できるかどうかは分らないという所が世の中の厳しさかもしれない。
「隊長も虫歯になったりするんですね」
「気になどはしていなかったのだが最近は我慢がきかなくなってな。痛みが走るたびに近くにいる部下を蹴り飛ばしたくなる」
 そういう意味で聞いたわけではなかったのだが、しばらくは側にいかないようにしようと決めつつ話を合わせる。
「は~、それは困ったものですね」
「シスタやマキが治療に行けとうるさいのでな」
「心配してるんですよ~」
「心配していると言う割には終始笑顔だったのが気になるが……」
「笑顔?」
 ラッツベインがキョトンと聞き返す。 
「おまえはまだ若いから分からんかもしれんが……人が無意味に笑顔を見せるときは何か裏がある。俺はつい最近それが分かった」
 つい最近分かったのか、と呆れつつもラッツベインは話を聞く。
「歯科では何をするのかという質問も答えんしな」
「ん?という事はー……歯の治療をした経験はないんですか?」
「ああ」
「あー……なるほど……」
 ラッツベインは何となくシスタ達の笑顔の意味が分かってきた。要は軽いいたずらみたいなものだろう。何も知らない彼がびっくりするのが楽しみなのだ。
(でもなー……)
 彼、エド・サンクタムはローグタウンどころかおそらく現時点でこの大陸でも一番の『気の利いたリアクションができない男』だと断言できる。過去数限りないいたずらのを仕掛けた私が言うのだから間違いないはずだ。
(これは少し手助けしたほうがいいわよね。うまくいけば場が和んでシスタさんに有利になるかもだし、マキちゃんもお母さんができて万々歳よ!よし、完璧!)

一旦続く~

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